うめさんインタビュー記事

今回は、フリーランスカメラマンとして活躍している梅澤さん(通称:ウメさん)にインタビューを行いました。

ウメさんは現在、東京を拠点に「ブランディングフォトグラファー」として活動しています。
経営者や個人事業主のプロフィール写真・宣材写真撮影を中心に、写真を通じてクライアントのビジネス成果を最大化するコンサルティングまで手がける、独自のスタイルを確立したカメラマンです。

副業時代には月収20〜30万円を達成し、独立後はブランディング撮影1件あたりの単価を6万6,000円以上に設定。
カメラマンは稼げないと言われることが多い業界で、確固たるポジションを築いてきた一人です。

この記事では、

  • カメラマンになったきっかけ
  • 最初の仕事
  • 最初にぶつかった壁と乗り越え方
  • 仕事が増えた転機
  • 現在の仕事・収入のリアル
  • 集客方法
  • 使用機材

などについて詳しくお話を伺いました。

カメラマンを目指している方、副業でカメラマン活動を始めたいと考えている方、ブランディング写真に興味がある方にとって、リアルな参考になる内容になっています。

それではインタビューをご覧ください。


①カメラマンになったきっかけ

フリーランスカメラマンとして活動している人の多くが、「カメラを手にした瞬間」を鮮明に覚えています。
きっかけは人それぞれですが、ウメさんの場合、その入口はとても意外なものでした。

ゲームが趣味で、人と話すのが得意ではなかった内向的な青年が、カメラと出会うことで人生が大きく変わっていく。
そんなストーリーを、まずはウメさん自身の言葉で振り返っていただきました。

鈴木:
カメラマンになったきっかけを教えてください。

ウメさん:
もともと僕、めちゃくちゃ人に流されるタイプで、趣味がゲームとかインドア系ばっかりだったんですよ。
女の子と話すのも全然ダメで、目も合わせられないみたいな。
実はそんなキャラだったんですけど、今は女性のポートレートも全然バンバン撮っていて、それが改善されたのがカメラだったんですよね。

鈴木:
カメラに出会ったのはどんなきっかけだったんですか。

ウメさん:
社会人になって、やっぱり社会に飲まれるというか、心がちょっと病んでた時期があって。
そこで「もうちょっと人間らしいことしたいな」ってなった時に、カメラに出会いました。
ちょうどiPhoneが流行り始めた頃で、スマホで写真を撮るのが楽しくなって、最初に買ったのが10万円くらいのレンズキット付きのα6000でした。

カメラマンとして活躍している人の中には、ウメさんのように「自分を変えたくてカメラを手にした」という方が少なくありません。
写真は技術だけでなく、人と向き合う力や自己表現の手段でもあります。
カメラが一つのきっかけとなって、人との距離感が変わっていく体験は、多くのカメラマンが共通して語る「始まりの物語」でもあります。

ウメさん:
そこからカメラの沼にどんどんはまっていって、地元の写真部に入って風景撮りに行ったり、正社員の仕事をしながら土日は仲間たちと写真を撮りに行くっていうのを3年間くらいやってたんですよ。
写真展もやりましたね。

鈴木:
風景写真からスタートして、その後ポートレートに移っていったんですか。

ウメさん:
そうなんですよ。
風景ばっかり撮ってるのも飽きてきたなってところで、みんながあまりやってなかった人物撮影をやってみたら、すごく喜んでいただけて。
これなんか夢があるなと思って。
自主的にイベントに参加して「お金はいらないので撮らせてください」って感じで人物撮影を経験していったんですよね。

ポートレート撮影は、被写体から「喜んでもらえる」という即時のフィードバックがあります。
風景写真と違い、その場で感動を共有できるのがポートレートの魅力の一つです。
ウメさんがプロを目指すきっかけになったのも、まさにその「喜んでもらえる体験」でした。

ウメさん:
自分の中で「合ってる」と思って、プロになればもっといい機材も買えるし、出会いも増えるし、もっと貢献できるんじゃないかって思ったのが、プロカメラマンとして活動を始めた理由ですね。


②最初の仕事

カメラマンとして最初にお金をいただいた仕事。
これはほとんどのカメラマンにとって、忘れられない体験になります。

準備しても準備しても足りない気がして、でも当日は予想外のことが必ず起きる。
ウメさんの最初の仕事も、まさにそんなドキドキのエピソードでした。

鈴木:
カメラマンとして最初にお金をいただいた仕事は何だったんですか。

ウメさん:
初めてお金をもらって撮影したのが、家族14人のお宮参りでした。

鈴木:
14人! すごい人数ですね。

ウメさん:
めちゃくちゃ多くて、集合写真も2列になるくらいでしたよ。
当時は金沢に住んでたんですけど、入場料を払わないと入れないような大きな神社での撮影で、めちゃめちゃ緊張してたのを覚えてます。

鈴木:
どんな準備をしたんですか。

ウメさん:
撮影日の前に2回もロケハンに行って、全部段取りを決めてから臨みました。
それでも当日は家族のトラブルもあって、すごいドタバタしたんですけど、喜んでいただけましたし。
汗かきながら撮影してたのを今でも覚えてますよ(笑)。

この「家族14人のお宮参り」という最初の仕事は、フリーランスカメラマンとしてのスタートとして、いくつかの重要な要素を含んでいます。

まず「ロケハンの徹底」という準備の姿勢。
撮影場所を事前に下見して、光の入り方や立ち位置、導線を確認しておくことは、特に初めての現場では非常に重要です。
当日の「想定外」を少しでも減らすことが、質の高い撮影につながります。

ウメさん:
プロになる前に、会社でカメラの研修もあったので、ある程度の技術はついてたんですけど。
結局は準備と人間との接し方が最終的に大事になってくるなって感じましたね。

技術よりも「準備と人間との接し方」が大事という言葉は、経験を積んだ今だからこそ言えることであり、同時にカメラマンとしてのキャリアの入口から一貫して変わらない真実でもあります。

なお、この最初の撮影はコロナ禍の時期と重なっていました。

ウメさん:
コロナの時期で依頼数はもちろん少なかったんですけど、あの時期に依頼をいただけたのはすごいありがたかったですね。


③最初の壁

カメラマンとして仕事を始めると、多くの人が早い段階でぶつかる壁があります。
「撮れない」という技術的な壁もあれば、「仕事が来ない」という集客の壁もあります。

ウメさんが最初に感じた壁は、ちょっと意外な種類のものでした。

鈴木:
活動を始めた当初に、一番の壁に感じたことはなんでしたか。

ウメさん:
取りたいジャンルの仕事が取れなかった、ってことですね。
最初は「何でも撮ります」っていうスタンスだったんですけど、お宮参りから始まったことで、七五三やお宮参りの依頼ばかりが来るようになって。
もともとウェディングやカップルの撮影がやりたかったんですが、そっちの作例がなかったから全然来なくて。

鈴木:
実績があるところに依頼が集まるってことですね。

ウメさん:
そうなんですよ。
1年くらい、お宮参りと七五三だけで終わったみたいな時代がありました。
次第に「お宮参り専属の人」って思われちゃって(笑)。

これは多くの出張カメラマン・フリーランスカメラマンが経験する「ジャンルの固定化」という壁です。

お客様は依頼するカメラマンを選ぶ際に、「作例(ポートフォリオ)」を最も重要な判断基準の一つとして見ます。
そのため、作例がないジャンルの仕事はなかなか来ません。
かといって、作例を作るためには撮影の機会が必要という、いわゆる「鶏と卵」の状態に陥りやすいのです。

ウメさん:
ウェディングとか2人のラブラブ写真みたいなカップル撮影が本当にやりたかったんですけど、全然依頼が来なくて。
「どうしよう」って感じでしたね。

「好きなジャンルの撮影仕事を取りたい」というのは、多くのカメラマンが共通して抱える悩みです。
しかし、この壁の乗り越え方には明確な方法があります。
ウメさんが実際にどう動いたのかを、次の章で紹介します。


④壁の乗り越え方

「取りたいジャンルの仕事が来ない」という壁に対して、ウメさんが選んだ解決策はシンプルでした。
「作例がないなら、作ればいい」。

ただし、その実行の仕方に工夫がありました。

鈴木:
作りたいジャンルの作例を作るために、具体的にどんなことをしたんですか。

ウメさん:
自主制作というか、作品作りですね。
カップルの撮影がしたかったんですけど、当時そういった協力者がいなかったので、一人撮影のポートレートを積極的に撮って、それをインスタグラムにアップしてたんですよ。

鈴木:
一人撮影でも、人物写真としての実力は伝えられますもんね。

ウメさん:
そうなんです。
「こういう写真が撮れますよ」っていうアウトプットを自分だけにとどめず、ちゃんと見てもらえる場所に出し続けることが大事で。
ストーリーでも活動の記録をしっかり上げてたりしました。

ここで重要なのは「作例の積極的な発信」です。
どんなに素晴らしい写真を撮っていても、それを見せなければ存在しないのと同じです。
SNSでの継続的な発信は、カメラマンとしての認知を広げるための基本的かつ最も効果的な手段の一つです。

ウメさん:
その結果、ウェディングを撮ったことがないのに「1回ウェディング撮ってほしい」って言われることがあって。
今まで撮ってきた一人撮影や女性ポートレートを見た上で、すごく映えると思ってくれたんでしょうね。
それで依頼が来たんです。

鈴木:
その最初のウェディング撮影はうまくいったんですか。

ウメさん:
すごい準備したので、うまくいって。
そこからまたウェディングの依頼が何件か来るようになりました。

この「作例を先に作って発信する」というサイクルは、フリーランスカメラマンとして新しいジャンルに挑戦する際の王道パターンと言えます。

まず自主制作で作例を作り、SNSで発信して認知を広げる。
最初の一件を丁寧にこなして実績を作り、そこからさらに依頼が増えていく。
このサイクルを意識的に回していくことが、撮影ジャンルの幅を広げるための近道です。

鈴木:
要するに、撮りたいジャンルに向けた「先行投資」ですよね。

ウメさん:
そうですね。
自己投資というか、先にやるってことが大事でした。


⑤仕事が増えたきっかけ

副業時代を経て、独立後も着実に仕事を増やしてきたウメさん。
そのキャリアの中で、「仕事が一気に増えた」と感じた転機が2回あったと言います。

フリーランスカメラマンとして活動している人の多くが「どうやったら仕事が増えるのか」という悩みを持っています。
ウメさんの経験から、その具体的なヒントをお聞きしました。

鈴木:
仕事が増えた転機って、どんなタイミングでしたか。

ウメさん:
大きく2回あったかなと思っています。
1回目は、カメラの講師を任せてもらった時代ですね。
副業でカメラマンをやりながら会社に勤めていた頃に、カメラの講師として教える機会をいただいたんですよ。

鈴木:
講師をやったことで、仕事が増えたんですか。

ウメさん:
撮影するだけのステージにこだわらず、任せていただけることはどんどんやっていったんですよね。
「講師をやっている」ということで顔が広まって、「講師をやってるくらいだからすごくうまいんだな」って見られるようになって。
そこで依頼がドーンと増えた時代がありました。

これは「肩書きの効果」とも言えます。
「カメラマン」という肩書きに加えて「カメラ講師」という肩書きを持つことで、専門性・信頼性の認知が一気に高まります。
フリーランスカメラマンとして差別化を図るためには、撮影だけでなく「教える」「伝える」という付加価値を持つことが、一つの有効な戦略です。

ウメさん:
2回目は、完全独立してからのことで。
年商何億、十億規模の経営者の方の撮影をさせてもらう機会があったんです。
その方の周りにはいろんな経営者さんやコンサル生がいて、その経由ですごく依頼が来るようになったんですよ。

鈴木:
どんな人脈を作るかが大事なんですね。

ウメさん:
そうですね。
大きな影響力を持っている方と繋がることで、その周辺にいる方々からの依頼が自然と増えていくという経験でした。

2つの転機をまとめると、1つ目は「講師という新たな肩書きで認知を広げたこと」、2つ目は「影響力のある人物との繋がりが仕事を呼んだこと」です。
いずれも、カメラの技術だけではなく「どう見られるか」「誰と繋がるか」という戦略的な視点が重要であることを示しています。


⑥現在の仕事

現在のウメさんの仕事の軸は、「ブランディングフォトグラファー」という独自のポジションです。
単に「良い写真を撮る」だけでなく、写真を通じてクライアントのビジネス成果に貢献するというアプローチは、一般的な出張カメラマンとは一線を画します。

鈴木:
今の主な仕事を教えてください。

ウメさん:
今は「ブランディングフォトグラファー」という形でやっていることが多いですね。
写真を撮るのは大前提として、どちらかというと経営者さんや個人事業主の方をターゲットにして、その方のビジュアル面をトータルでプロデュースする感じです。
ウェブサイトやLPに使う画像をどう活用すれば売り上げが上がるか、一緒に考えながら撮影もさせていただく。

鈴木:
単なるプロフィール写真の撮影というより、コンサルティング的な要素もあるんですね。

ウメさん:
そうですね。
スタジオでのライティングを使ったちゃんとした格のあるプロフィール写真を撮りながら、その方のビジネスのステージに合わせてヒアリングして、写真の使い方のコンサルもさせていただいています。

「ブランディング写真」という言葉が注目されるようになったのは、SNSや個人ブランディングが普及してきたことが背景にあります。
ビジネスパーソンや経営者が自分自身を「商品」として見せる時代において、写真は単なる記録ではなく「ビジネスツール」としての役割を持ちます。
ウメさんはその需要をいち早く捉え、独自のサービスとして確立してきました。

ウメさん:
2つ目の軸がウェディング撮影です。
ブランディングプロフィールが一番大きくて、次にウェディングという2軸が今の主な撮影ジャンルになっています。

鈴木:
もともとはお宮参りや七五三からスタートして、今はそこまで変化してきたんですね。
途中でどんなジャンルも経験されましたか。

ウメさん:
フード撮影や物撮りもやりましたね。
でもこれが今の法人撮影にも活かされていて。
人物のライティングをちゃんと学ぶと、応用でどのジャンルもある程度対応できるようになる法則があると思っていて。

人物撮影で培ったライティング技術は、物撮りにも転用できます。
一つのジャンルを深く追求することで、他ジャンルへの応用力も自然と高まっていく。
ウメさんのキャリアは、カメラマンとしての「専門化と汎用化」が同時に進んだ好例と言えるでしょう。


⑦収入のリアル

「カメラマンは稼げない」という言葉をよく耳にします。
しかし、ウメさんの実績はそのイメージとは大きく異なります。
副業時代から独立後まで、具体的な数字を交えてお話しいただきました。

鈴木:
現在の収入について、可能な範囲で教えてください。

ウメさん:
ブランディングプロフィール撮影が一番大きな収入源です。
個人で受ける場合は最低でも6万6,000円はいただいています。

鈴木:
1件あたり6万6,000円以上ということですね。
月にどれくらいの件数をやってらっしゃるんですか。

ウメさん:
人数規模で言うと、翌月4月で言えば10人、13人、15人という感じで、3日連続で撮影があります。

鈴木:
計算すると、かなりの売り上げになりますね。

ウメさん:
ブランディングプロフィールだけで全体の7割くらいはあると思います。
残り3割が動画や下請け的な撮影ですね。

単価6万6,000円以上のブランディングプロフィール撮影を月複数件こなすとなれば、撮影だけで月100万円超えの売上も現実的な数字として見えてきます。
これが「カメラマンは稼げない」という一般的なイメージとかけ離れているのは、「撮影ジャンル」と「ターゲット設定」の違いによるところが大きいと言えます。

鈴木:
副業時代の最高収入はどれくらいでしたか。

ウメさん:
副業の時でも、撮影だけで月20万円くらいいった時期はありましたね。
さらに当時は講師もやっていたので、撮影と講師を合わせると最高で30万円くらいになった月もあったかな。

副業でも30万円近い収入を得られた背景には、撮影の単価設定と講師という複数の収入源があったことが挙げられます。
フリーランスカメラマンとして収入を安定・向上させるためには、「撮影だけに頼らない収入設計」も重要な視点です。

ウメさん:
カメラマンって稼げないって言われるのが、過去に言われた言葉で一番つらかったことなんですよね。
プロになる前に家族からも「カメラマンなんて稼げないからやめとけ」って言われて、めちゃくちゃ防衛反応になったりもしましたし、講師をやってた時に生徒から「プロになったところで全然稼げないから夢ない」って言われたのが、今でも心に残っていて。

鈴木:
それがモチベーションにもなったんですね。

ウメさん:
それで1回プレイヤーに戻って、真剣にちゃんとやろうって思ったんです。
だからその言葉が、ある意味僕を奮い立たせてくれたとも言えますね。


⑧集客方法

どんなに撮影技術が高くても、お客様が来なければ仕事は成立しません。
フリーランスカメラマンにとって、集客は永遠の課題とも言えます。

ウメさんが実践している集客方法は、多くのカメラマンが使っているインスタグラムやウェブサイトとは異なる、独自のアプローチでした。

鈴木:
現在の主な集客方法を教えてください。

ウメさん:
今の主な集客源は、異業種交流会への参加とFacebookです。

鈴木:
Facebookが集客に使えるんですね。

ウメさん:
本名を出すことに抵抗を感じる方もいるかもしれないんですけど、Facebookって実は経営者向けのSNSなんですよ。
あそこに書いてあることって、XやインスタグラムよりもFacebookの方が信頼性が高いと僕は思っていて。

独立後にウメさんが力を入れるようになったFacebook。
経営者や個人事業主をターゲットにしているウメさんにとって、その層が多く活用しているFacebookは集客プラットフォームとして非常に相性がいいと言えます。

ウメさん:
それと、異業種交流会の仲間たちからの紹介が多いですね。
僕がやっている異業種交流会では基本的にFacebook Messengerを使ってやり取りするので、Facebookとリアルのコミュニティがセットになってるんですよね。

鈴木:
実際に一番効果があった集客施策は何でしたか。

ウメさん:
やっぱり異業種交流会ですね。
信頼関係を積み重ねた仲間からの紹介は、初めから高い信頼を持った状態でご依頼いただけるので、成約率も高いですし。

「紹介からの集客」は、フリーランスカメラマンにとって最も質の高い集客経路の一つです。
広告費もかからず、すでに信頼を持った状態でご依頼いただけるため、仕事につながりやすい。

特にブランディング撮影のような高単価のサービスを提供するカメラマンにとっては、「誰かの紹介で来てもらう」という経路の確立が非常に重要になります。
そのためのコミュニティとして、異業種交流会やFacebookコミュニティを活用しているウメさんのアプローチは、理にかなったものと言えるでしょう。


⑨印象に残っている撮影

カメラマンという仕事は、技術やビジネスだけではありません。
人の大切な瞬間に立ち会い、その記憶を形にする仕事でもあります。

ウメさんに、これまで特に印象に残っている撮影を2つ聞かせていただきました。

鈴木:
今まで撮影してきた中で、一番印象に残っている撮影はありますか。

ウメさん:
家族撮影とウェディングで、1つずつあります。

鈴木:
まず家族撮影から教えてもらえますか。

ウメさん:
プロになって4回目の撮影で、兄の子どものお宮参りを撮影した時のことです。
2020年でちょうどコロナ禍。
兄が海外に住んでいて、外出禁止令が出ていた時期だったから帰ってこれなかったんですよ。
でもお祝い事の写真は撮りたい。
じゃあどうするかっていうことで、当時流行り始めていたテレビ電話を取り入れて撮影したんですよ。

鈴木:
ビデオ通話画面と一緒に家族写真を撮るということですか。

ウメさん:
そうなんです。
その撮影が自分の中でかなり思い入れがあって、その写真で展示をしたこともありましたし、関西電力フォトコンテストで最優秀賞もいただいたんですよ。

コロナ禍という時代背景が生んだ、ユニークかつ感動的な撮影エピソードです。
「離れていてもつながれる」という当時の切実な願いを、写真という形で残した一枚。
カメラマンとして、社会の文脈と人の感情を読み取り、創造的な解決策を提案できた瞬間でもあります。

ウメさん:
ウェディングの方は、桜の下でのお話です。
ウェディング撮影中にたまたま前のアポもなしでご家族のおばあちゃんと遭遇したんですよ。
桜の下でそんな偶然の再会ってないじゃないですか。
「せっかくだから家族みんなで撮りましょう」って提案したら、快く応じてくれて。
その半月後におばあちゃんが亡くなったんですよ。

鈴木:
それは……。

ウメさん:
後からお客様の方からご連絡をいただいて、「その時の写真を使ったよ」って言ってくれたんですよね。
写真って「残す」じゃなくて、やっぱり人間そのものに密接に関わっているんだなっていうのを、その撮影から改めて感じました。

この2つのエピソードは、カメラマンという仕事の本質を表しています。
写真は記録ではなく、人の記憶と感情を永遠に結びつけるものです。
技術や機材がどれだけ進化しても、「その瞬間を残した人間がいた」という事実は変わりません。
だからこそカメラマンという仕事は、AIや技術革新があっても消えることのない価値を持ち続けるのではないでしょうか。


⑩撮影で大事にしていること

カメラマンとしての哲学。
ウメさんが撮影において最も大切にしていることとは何か。
そこには、写真技術を超えた、人間としての在り方がありました。

鈴木:
撮影において、大事にしていることを教えてください。

ウメさん:
人間性を大事にする、ということが僕のマストですね。
思いやりも大事だし、人の時間も大切にしたいし、その人の夢を叶えたいっていう気持ちを持ちながら写真を撮っています。

鈴木:
AIが普及している今の時代、カメラマンとしてどんなことを意識していますか。

ウメさん:
今はAIで簡単な画像が作れる時代になってきましたよね。
でも結局、写真を通じて人と会話しているこの瞬間が自分にとって一番楽しいし、大切にしたいところで。
それが令和の時代に写真を撮るにあたって、一番大事なところかなと思っていて。

AIが生成する画像と、人間のカメラマンが撮る写真の最大の違いは「その場のコミュニケーション」です。
カメラマンとクライアントの間で生まれる信頼関係、表情を引き出すための言葉かけ、場の雰囲気を作る空気感。
これらは機械が代替できるものではありません。

ウメさん:
コミュニケーションを第一優先で守るっていうことは絶対に忘れずにいたいですね。
ビジネスとしてのやり取りをきちんとやるのはもちろん、期日を守るとかそういう当たり前のことも含めて、その人のことを尊重してかかわること。
それが撮影の質にも直結すると思っています。

「その人のことを尊重する」という言葉は、プロフェッショナルとして当然のことのように聞こえますが、実際の撮影現場では疎かになりやすいことでもあります。
緊張している被写体をリラックスさせ、自然な表情を引き出すためには、技術だけでなく「相手への敬意と関心」が必要です。
ウメさんがこだわるのは、その本質的な部分です。


⑪これからの目標

カメラマンとしてのキャリアをさらに高みへ。
ウメさんが描く未来のビジョンは、個人としての成長にとどまらず、業界全体への貢献へと広がっていました。

鈴木:
これからどんなカメラマンを目指していますか。

ウメさん:
これ、話すのが初めてなんですよ。
ずばり言うと、僕がライティングを教わった先生がいるんですけど、その人は1件半日の撮影で100万円をいただけるレベルらしくて。
まずはプレイヤーとして、そのステージに行きたいと思っています。

鈴木:
1件100万円はすごいですね。

ウメさん:
2つ目は、海外進出です。
今年は何カ所か、海外に爪痕を残しに行こうと思っています。

フリーランスカメラマンとして海外でも活動するというビジョン。
日本国内だけでなく、ブランディング写真という需要は世界中にあります。
特に経営者・起業家層をターゲットにしたブランディングフォトグラファーとしてのポジションは、海外市場でも十分に通用する可能性があります。

ウメさん:
あと将来的には、仲間を増やしたいなと思っています。
クリエイターって安く使われる時代になってきているって感じていて、夢がないなって思うことがあって。
でも僕がこうして収入の話をすることで、夢を持つ人や「もっと行きたい」と思う人が絶対いるはずで。
カメラ界の頂点、いわばホスト界のローランドみたいな存在になれたらいいなと思っていて。

鈴木:
みんなのロールモデルになりたいということですね。

ウメさん:
頂点まで行けばここまで行けるんだっていうお手本の人になりたい。
カメラマンが稼げないっていう言葉をひっくり返したいっていうのが、一番の思いとしてあります。

この言葉には、ウメさん自身が経験してきた「カメラマンは稼げない」という偏見への反発と、それを証明してきた自負が込められています。
クリエイター業界全体を盛り上げたいというビジョンは、単なる個人の野心を超えた、業界への貢献意識から来ているのでしょう。


⑫初心者へのアドバイス

カメラマンを目指したいけれど、一歩を踏み出せない人へ。
ウメさんから、リアルな経験に基づくアドバイスをいただきました。

鈴木:
これからカメラマンを目指したいという初心者に、アドバイスをお願いします。

ウメさん:
間違いなく言えることが1つあります。
出会う人と関わる人を変えろっていうことです。

鈴木:
具体的にはどういうことでしょうか。

ウメさん:
カメラマンの仕事をやったことがない人にカメラマンをやった方がいいか聞くのは、はっきり言って意味ないんですよ。
家族に言われましたけど、家族は知ってるわけないじゃないですか。
やったことない人に聞いたら、「やめた方がいい」って言うに決まってるんですよ。

ウメさんの言葉は少し率直に聞こえますが、これは多くのフリーランス経験者が共通して語る重要なポイントです。
自分が目指すキャリアの経験者・実践者のコミュニティに入ることで、「できる」という前提で話が進む環境に身を置くことができます。

ウメさん:
こうして僕みたいに「できますよ」って証明できる人間がいるんで、そういう人たちを信じてみてほしいんですよね。
その数を増やせば、きっと自分が叶えたい夢に近づくと思います。

鈴木:
環境を変えることが大事なんですね。

ウメさん:
例えば、なんとなく行ってる飲み会に使っているお金を、目指したい職業を実践している人に会いに行くために使うっていうのも、すごく大事な行動だと思うんですよね。
時間の使い方とお金の使い方を、夢のために使う。
そうすると一気に変わる経験があるって、僕の経験から言えます。

「誰と過ごすか」が自分の思考と行動に大きく影響することは、心理学的にも実証されています。
特に「カメラマンは稼げない」というネガティブな言葉に囲まれている環境にいる場合、その環境ごと変えることが最初の一歩になります。
ウメさんのアドバイスは、技術論より先に「環境設計」を考えることの重要性を教えてくれます。


⑬過去の自分へのアドバイス

もし過去の自分に言葉をかけられるとしたら。
ウメさんが語ったのは、失敗への恐れと自信のなさを抱えていた若い頃の自分への、温かいメッセージでした。

鈴木:
過去の自分に戻れるとしたら、どんなアドバイスをしますか。

ウメさん:
どんどん失敗しろって言いたいですね。
失敗なんて大したことないから、恐れるなって。
あともじもじしてないで、自信を持てって感じですね。

鈴木:
自信を持つのって、なかなか難しいですよね。

ウメさん:
そうなんですけど、僕なりの解決法が1個あって。
マイナスの言葉を発する前に、プラスの言葉を発するっていうことなんですよ。

鈴木:
どういうことですか。

ウメさん:
例えば失敗した時に、「この失敗、もっと大事な場面でやらかしてたらやばかったよね。今ここで失敗してよかったじゃん」って考えるんです。
プラスで終わらせるっていうか、基本的にプラスで話すようにするっていう習慣ですね。

「ポジティブな言語化」は、自己肯定感を高めるための実践的な方法です。
脳は言語によって現実を解釈するため、同じ出来事でも言葉の選び方によって感情的な受け取り方が変わります。
ウメさんが語るのは、精神論ではなく、習慣としての「言葉の使い方」です。

ウメさん:
愚痴だけ言って何もしない人って、何も解決にならないと思っていて。
だったらプラスのことを話そうよって。
自分一人が落ち込んだ時でも、「ここでやったからよかった」ってちっちゃいことでもプラスのことを口に発するだけで、全然違うと思うんですよね。
昔の自分はずっと「ダメダメ、自分なんて」ってなってたので。

失敗を恐れず行動すること、そして失敗した時に言葉でプラスに転換すること。
この2つがウメさんから過去の自分へのメッセージであり、同時にこれからの若いカメラマンへのエールでもあります。


⑭最大の失敗

実は最初からうまくいっていたわけではないウメさん。
最大の失敗をうかがうと、正直に2つのエピソードを話してくれました。
一つは会社員時代の話、もう一つはカメラマンとしての話です。

鈴木:
これまでの最大の失敗を教えてください。

ウメさん:
カメラをやっていなかった会社員時代で言うと、無断欠勤をやっていたことがありましたね。
新卒の頃は報連相が全然できていなくて。

鈴木:
意外ですね。今のウメさんのイメージとは全然違います。

ウメさん:
失敗を恐れて怒られるのが嫌だったから、むしろ逃げるっていう選択をしていたんですよ。
それが自信がないという状態にも繋がっていたなと今は思っています。
当たり前のことができていなかったから、どんどん自信が落ちていくっていう悪循環でしたね。

無断欠勤や報連相の欠如は、ビジネスパーソンとしての基本的な失敗です。
しかしウメさんはこの失敗を隠すのではなく、「自信のなさが行動に出ていた」という本質として捉え直しています。
失敗の表面だけでなく、その根本原因を見つめることが、真の意味での「失敗から学ぶ」姿勢と言えます。

ウメさん:
カメラマンとしての最大の失敗は、1年前のことです。
マタニティ撮影で、撮影するはずだったスタジオの予約がうまく取れていなくて、全キャンセルになってしまったんです。
半年前から楽しみにしてたって言ってくれていた撮影を、全部ぼちゃにしてしまいました。

鈴木:
それはつらかったですね。

ウメさん:
フリーランスになると本当にやることが増えて、管理する視点も変わってくるので、どこかで回らなくなる瞬間があって。
それでやらかしてしまいました。
でもそれだけの大きな失敗をして、成長できているところもあるので。

フリーランスとして独立すると、撮影の技術だけでなく、スケジュール管理・予約管理・顧客対応など、あらゆる業務を自分でこなす必要があります。
特に仕事が増えてきた時期には、管理業務の抜け漏れが発生しやすくなります。
ウメさんの失敗は、フリーランスカメラマンが成長過程で直面しやすいリアルな課題を示しています。


⑮使用機材

カメラマンに欠かせない機材の話。
ウメさんが実際に使用しているカメラ・レンズ・パソコンについて、具体的に教えていただきました。

鈴木:
現在使っているカメラを教えてください。

ウメさん:
ソニーのα7Ⅳを使っています。
今2026年現時点の最新型はα7Ⅴになりますが、一つ前のモデルを使っていますね。

ソニーα7Ⅳ(ILCE-7M4)は、2021年に発売されたフルサイズミラーレスカメラです。
3300万画素の高解像センサーを搭載し、動画・静止画両方に対応した万能機として、多くのプロカメラマンに支持されています。
ブランディング撮影のような高品質が求められるジャンルでは、フルサイズセンサーのボケ表現や画質の余裕が大きな武器になります。


⑯お気に入りのレンズ

レンズはカメラマンの表現の核心です。
ウメさんが最も愛用しているレンズとその理由を聞きました。

鈴木:
お気に入りのレンズはなんですか。

ウメさん:
今まさに付けているこの白いレンズ、70-200mm F2.8の望遠レンズです。
これが一番のお気に入りですね。

鈴木:
どうしてそのレンズが好きなんですか。

ウメさん:
まず、このレンズをカメラに付けた瞬間にお客様が「すごい、できる人だ」って思ってくれるんですよ(笑)。

鈴木:
確かに見た目のインパクトもありますよね。

ウメさん:
でも見た目だけじゃなくて、背景にある作品たちは全部このレンズで撮っています。
プロフィール撮影を中心にするようになってから、特にこのレンズが活躍するようになりました。

70-200mm F2.8の望遠レンズは、ポートレート撮影において圧縮効果によって背景を美しくぼかし、被写体を際立たせる効果があります。
また広角レンズで撮影した際に起きやすい顔の歪みが少ないため、ビジネスプロフィール写真のような「誠実さ・信頼感を伝える」撮影には特に適しています。

ウメさん:
広角域や標準域のレンズだと、どうしても顔が少し歪んだり細くなって見えたりするんですよ。
プロフィールってちゃんと伝えないといけない場合もあるから、顔のサイズも正しく伝わることが大事で。
結局このレンズを使うことが多いですね。


⑰使っているパソコンを教えてください。

写真編集作業において、パソコンのスペックは撮影効率に直結します。
ウメさんが選んだマシンと、その購入術についても教えてもらいました。

鈴木:
使っているパソコンを教えてください。

ウメさん:
MacBook Proを使っています。
M1 Pro、メモリ64GB、SSD 1TBのモデルですね。

鈴木:
それ、新品だとかなりの金額になりますよね。

ウメさん:
新品で買ったら70万円くらいしますが、中古で27万円で手に入れました。

鈴木:
それはお得でしたね。

ウメさん:
中古でいいものを探せば、かなりコスパよく揃えられることってあるんですよね。
ちなみに僕がカメラマンとして活動を始めた頃に使っていたのは、M1のMacBook Airでした。

M1 MacBook Airはコストパフォーマンスに優れたモデルで、写真編集においても十分なパフォーマンスを発揮します。
プロカメラマンを目指して活動を始める段階では、まず手の届く機材で始めることが重要です。
収入が上がるにつれてスペックを上げていくという考え方は、カメラ本体だけでなくパソコンでも同様に当てはまります。

ウメさん:
最初からフルスペックを揃える必要はないと思うんですよね。
まずは今持っているものやコストを抑えた機材でスタートして、稼げるようになったら機材に投資するっていう順番の方が健全だと思います。


まとめ

梅澤さん(ウメさん)のインタビューを通じて、フリーランスカメラマンとして成功するためのリアルな道筋が見えてきました。

ウメさんのキャリアをまとめると、以下のような流れになります。

  • 社会人1年目の心の疲弊をきっかけにカメラと出会い、趣味から仕事へ。
  • 地元写真部での3年間で基礎を積み、人物撮影の楽しさを発見。
  • 家族14人のお宮参りという緊張のファーストジョブを経験。
  • 「取りたいジャンルの仕事が来ない」という壁に直面するも、自主制作とSNS発信で突破。
  • 講師活動という新たな肩書きが転機となり依頼が急増。
  • 影響力ある経営者との繋がりが仕事の幅を大きく広げる。
  • 副業時代に月最高30万円を達成後、独立。
  • ブランディングフォトグラファーという独自ポジションを確立し、1件6万6,000円以上の高単価撮影を複数件こなす体制を構築。

この軌跡が教えてくれるのは、「技術だけではなく、戦略・人脈・発信・ポジショニング」が組み合わさって初めて、カメラマンというキャリアが成立するということです。

「カメラマンは稼げない」という言葉に何度も傷ついてきたウメさんが、今まさにその言葉をひっくり返し続けています。
その姿は、カメラを仕事にしたいと思っているすべての人へのエールでもあります。

ウメさん、インタビューへのご協力ありがとうございました。


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